アメリカにいた頃、僕は数え切れないほどのバンドに参加しました。
そこでお説教というものを受けたことはありませんでした。
僕が良いプレイヤーだったというわけではなく、むしろ不器用だったのですが、良い悪いで何かを言われるということはありませんでした。
良い悪いではなくレベルを含めて合う合わないの判断で、合わないなら次がないだけです。
それはそれでとても厳しい世界だったのですが、誰に合わせることもなく、自分のしたい音楽を思い切り追求することができました。
ですから僕は、あれが間違っている、これが間違っていると音楽のうえで指摘をすることは良い影響を与えるとは思っていません。
音楽には理論があり、その理論の上での正誤はありますが、センスや観念の問題となると、バンド内でそれを指摘することで得られるものはなにもないと思っています。
それよりも、お説教をしたことで、そのプレイヤーが思い切りプレイができなくなるほうが怖いと思っています。
そしてもしかすると、それがプレイヤーとしての人生を変えてしまうかもしれません。
生徒ではなく、バンドメンバー、特にジャズのような一時的なバンドのメンバーに対して、そこまで責任をとることはできません。
自分にとっては合わない相手でも、他の誰かが必要としているプレイヤーであるかもしれません。
本人が望まないのに、それをねじ曲げる必要は全くないと僕は考えています。
そしてアーティストとしてステージに立つ者として「合わない」判断がされることもまた当然のことだと受け止める覚悟と自信を持つ、そのためにはそれだけの訓練をする必要があると考えています。
SPOONFUL MUSICのオフィシャルブログです。