アメリカにいた頃、僕は数え切れないほどのバンドに参加しました。
そこでお説教というものを受けたことはありませんでした。
僕が良いプレイヤーだったというわけではなく、むしろ不器用だったのですが、良い悪いで何かを言われるということはありませんでした。
良い悪いではなくレベルを含めて合う合わないの判断で、合わないなら次がないだけです。
それはそれでとても厳しい世界だったのですが、誰に合わせることもなく、自分のしたい音楽を思い切り追求することができました。
ですから僕は、あれが間違っている、これが間違っていると音楽のうえで指摘をすることは良い影響を与えるとは思っていません。
音楽には理論があり、その理論の上での正誤はありますが、センスや観念の問題となると、バンド内でそれを指摘することで得られるものはなにもないと思っています。
それよりも、お説教をしたことで、そのプレイヤーが思い切りプレイができなくなるほうが怖いと思っています。
そしてもしかすると、それがプレイヤーとしての人生を変えてしまうかもしれません。
生徒ではなく、バンドメンバー、特にジャズのような一時的なバンドのメンバーに対して、そこまで責任をとることはできません。
自分にとっては合わない相手でも、他の誰かが必要としているプレイヤーであるかもしれません。
本人が望まないのに、それをねじ曲げる必要は全くないと僕は考えています。
そしてアーティストとしてステージに立つ者として「合わない」判断がされることもまた当然のことだと受け止める覚悟と自信を持つ、そのためにはそれだけの訓練をする必要があると考えています。
ブログ一覧
ジャズピアノ2つのアプローチ
こんにちは、柴田コウメイです。
今日は、ジャズピアノを学ぶ二種類の方法のおはなしです。
ジャズピアノには、大きくわけて二種類の練習法があります。
ひとつは、ジャズ理論を学び、コードに対応したスケールでアドリブを構築してゆく方法。
もうひとつは、先人のフレーズをコピーし、それを切り貼りしてアドリブをする方法です。
今でこそ、バークリー音楽大学のメソッド「バークリー理論」が有名になり、ジャズの理論書も簡単に手に入るようになりましたが、僕がジャズを学び始めた頃はまだまだジャズ理論など学べるところも資料も少なく、ジャズのアドリブを学ぶといえばコピーが主流でした。
昔は、コピー譜もほどんどなく、すり切れるまでレコードを聴いてフレーズをコピーしていたそうです。渡辺貞夫さんも、チャーリーパーカーのレコードが白くすり切れるまで聴いて勉強していたそうです。
今は、コピー譜もたくさん出版されていますし、聴こうと思えば、YouTubeでいくらでも名演を聴くことができるので、独学をするには本当にいい時代になったと思います。
今日の動画
ジャズボーカルになる3つの条件
僕はレッスンでジャズボーカルを教えています。
さて、そのジャズボーカル、普通のボーカルと何が違うのでしょう?
何ができるようになれば、ジャズボーカルができるようになったと言えるのでしょうか?
今日はジャズボーカルになる方法についてお話ししようと思います。
ジャズボーカルとは何か
ジャズボーカルにはまず、「ジャズのジャムセッションに参加できる」という大前提があります。
ジャムセッションとは、打ち合わせをせず、その場でコード譜を見ながら即興的にバンド演奏をすることです。
ボーカルに限らず、ジャズはこのセッションに参加する技術を持っていることが大前提です。ジャズボーカルを学ぶということは、その技術を学ぶということになります。
その技術とは何か、一つずつ紐解いていきましょう。
ジャズボーカルの条件
1. ジャズ・スタンダード曲をおぼえる
ジャズには、スタンダード曲と呼ばれる定番曲があります。
ジャズ・スタンダードナンバーは楽譜にまとめられて販売されているので、それをまず勉強しましょう。
国によってよく歌われる曲が少し違っていたり、新しい曲が追加されたりしていることもあるかもしれませんが、このスタンダードナンバーはだいたい世界共通です。
2. 自分のキーを決め、楽譜を書く
ジャズでは、原曲のキーにこだわることなく、自分の歌いやすいキーで歌います。
カラオケでは+・−のボタンを押して音の高さを調整していますね。
ジャズは生バンドなので、自分の歌いやすい高さが決まったら、その高さに合わせて自分の楽譜を書きます。メロディにコードをつけた楽譜を、バンドメンバーの人数分印刷して配ります。
配る楽譜は全員同じ楽譜です。その楽譜を渡せば、バンドメンバーはあなたのキーでジャズを演奏します。
これがジャズの楽譜です。この2つの楽譜は、同じ曲でも調(高さ)が違います。
3. ジャズバンドの演奏に慣れる
上の楽譜のように、ジャズの楽譜には、単音のメロディとコードネームしか書いてありません。
それをどのように演奏するかは、プレイヤーが演奏しながら決めていきます。
つまり毎回伴奏の音が違うので、あらかじめ決められた音がそのまま出てくるポップスやクラシックとは勝手が違います。ジャズ独特のリズムもあり、慣れないうちは、思った以上に違和感を感じます。
また、ジャズではその場の雰囲気で倍速テンポになったり、リズムが変わったりします。もちろんボーカルがそういう雰囲気を作っていくこともあります。歌唱の表現力もですが、なにより、リズム感が重要であることもジャズの特徴でしょう。
ほか、テンポはボーカルが決めたり、合図の出し方など小さなルールがありますので、そうしたことにも慣れる必要があるでしょう。
ジャズボーカルの特徴として、ボーカルのアドリブである「スキャット」などがありますが、こうしたことは応用編になるので必ずしもできる必要はありません。
まとめ
ジャズはその場の空気や即興演奏の変化を楽しむ音楽であり、同じ演奏が二度とされることはありません。ジャズボーカルはその変化に対応し、バンドメンバーと音楽で対話できる存在です。ジャズは音楽での「おしゃべり」のようなものであり、ポップスやロック、クラシックとは異なるアプローチを持っています。
たとえば同じスタンダードジャズナンバー(たとえば「A列車で行こう」など)を歌う歌手でも、カラオケやバンドスコアの楽譜で決められた伴奏で歌うであれば、「ポップス歌手」の部類に入ります。
ジャズはアドリブをしない「歌手」にとっても、バンドとコミュニケーションをしながら、バンドと一緒につくりあげていく音楽なのです。
今日の動画
7月27日(土)吉野町中央公民館でコンサートをします。
最高のドラマー、村尾コージさんとのバトルライブです。
会場でお待ちしています!
新しい動画シリーズをはじめました
忙しさにかまけて、しばらく怠けていた動画の更新をしました。
これからは演奏のほうに力を入れることにして、最初に僕の演奏を聴いていただいて、そのあとで、バチカブリとおしゃべりをしようという趣向で、新シリーズ「SPOONFUL MUSIC HOUR」をはじめました。
「SPOONFUL MUSIC HOUR」は昔、心斎橋に住んでいたころ、同じ題名で定期的に菩南座というBarから生配信をしていたことがありました。トークはほとんどせず、ただ演奏するだけ、しかもipadからだったので、相当コンディションは悪かったと思います。
そのときのリベンジもこめて、同じ題名をつけてみました。この題名はけっこう気に入っていました。
今回は、演奏は最初の一曲で、あとはおしゃべりです。曲と関係ある話になるのか、ならないのかはそのときの気分で、もしかしたら理論の話になるかもしれないし、ぜんぜん関係ない話になるかもしれません。
演奏を最初に持ってきたのは、おしゃべりで気が散る前に演奏していたほうがいいだろうということと、演奏だけ聴きたいという人のために、そのようにしてみました。
僕とバチカブリが配信を始めて10年、相変わらず、編集なし、台本なし、撮りっぱなしの動画ですが、ぜひご覧ください。
僕がバークリーで学んできたこと
僕がバークリー音楽大学に入学したのは1978年、一度休学したあと、1991年に卒業しました。
僕がバークリーに入学した頃は、まだまだヒッピーの空気が残っていて、多分、今よりちょっと乱暴だったのではないかと思います。練習室のピアノには、生徒が勝手に調律しないように、南京錠がかけられていました。
僕はここで何としても成功すると決心していたため、アメリカ人のルームメイトと共に生活し、同じものを食べ、自分の中にアメリカを取り入れることから始めました。
キャンパスライフという楽しいものは、送ろうと思えば送れたかもしれませんが、僕にとっては、監獄であり、軍隊でした。別に厳しい戒律があったわけではなく、世界中からバケモノのようなプレイヤーが集まっていたので、遊んでいるどころではありませんでした。
そこで学んだ有名なバークリー理論はもちろん僕の骨格になりましたが、特に印象的だったのはセッションの経験です。
バークリーでは授業が終わると部屋が解放されるので、教室を確保して、連日連日、セッションしました。学生だけではなく、外部の人も入ることができました。1組につき2時間の時間制限がありましたので、お酒もタバコも余計な人付き合いもなく、純粋にセッションに打ち込むことができました。誰もおしゃべりはしませんでした。
これほど音楽以外のことを考えることなく、純粋に音楽を追求するセッションができたのはあとにも先にもこのときだけだったかもしれません。
ジャズは、誰かに合わせて音楽を完成させるものではないということ、みんなでいろいろなものを持ち寄って、自由のなかで積み上げてゆく感覚を僕はそこで学びました。それが楽しくてしかたありませんでした。
バークリーで僕が学んできたのは、自由でした。僕の生徒たちにも、音楽で自由になるこの体験を伝えることができたらと思っています。
カクテルピアノ
ジャズピアノに似ているジャンルに、カクテルピアノというものがあります。
バーやレストランなどで、雰囲気を出すために弾かれるピアノです。
ちょっとおしゃれで、会話の間を埋めるので話が弾み、お酒もおいしくなるピアノです。
ジャズが弾けるピアニストならコード譜で弾きますし、クラシックピアニストは両手譜で弾きます。
そして、お客さんの邪魔にならないように弾きます。
場を盛り上げるのではなく、おしゃれな空気を作る為に演奏します。
名前の通り、カクテルを飲むような場所で演奏されるピアノです。
今はちょっとわかりませんが、コロナ前まではこのカクテルピアノの需要が高く、報酬も悪くないので、ピアニストの定番アルバイトでした。
ピアノを弾くことで報酬を得たい人、カクテルピアノを弾くのが好きな人にとってはとても良い仕事だと思います。
ですが、ジャズピアニストになりたい、アーティストとして名前を出していきたいと思っている人はしないほうが良い仕事だと僕は思っています。バーやレストランでは、お客さんの邪魔にならないことが要求されます。
存在感を出すと叱られてしまいます。
この仕事をすると、人の邪魔にならないように弾いてしまう癖がついてしまうのです。
そして、その癖はなかなか取ることができません。
これは、個性を出し、人の注目を集めなければならないアーティストとしてハンデになります。
僕は東京にいるとき、バーでピアノを弾く仕事もしていましたが、このときの癖を取るのに随分かかりました。5年以上はかかったと思います。本当に取れたのは吉野に来てからかもしれません。
ピアニストになる人は、どのようなピアニストになるか、しっかりと心に決めましょう。それはあとで変わるかもしれませんが、自分で意識を持って決めておけば、避けるべきものが見えてくると思います。
自分の長所を伸ばそう
人間には、練習してできるようになることと、練習してもできるようにならないことがあります。
練習してもできるようにならないことにこだわっているばかりに、自分の長所を伸ばせなくなるのは本末転倒です。
僕は、練習してもできるようにならないことは、困らないくらいにできればいいと考えます。
高い声が出ないなら無理をして出す必要はないし、スキャットが苦手なら無理してスキャットをすることもありません。
僕は楽譜をおぼえることが苦手なので、おぼえることは最小限ですませています。スタンダード曲をすべて暗譜しているなんてことはなく、必要なときに、必要なだけしかおぼえません。セッションや伴奏はよく楽譜を見ながら演奏しています。
だけど、そのことで暗譜が得意な人に負けているとは思いません。僕の体にはそれ以上のデータと奏法がメカニズムとして入っているので、ピアニストとして、楽譜がおぼえられないことをハンデにしない自信があります。
伸ばすべきは、練習をしても誰でもができるようになるとは限らない、自分の持つ長所です。その長所を伸ばすためには、一層厳しい練習が必要になり、もしかすると、その長所をスポイルしないために苦手なことを練習することにもなるのですが、できないことを憎みながら練習するのと、できることを育てるために練習するのとでは、結果がまったく違ってきます。
そして、自分を大好きになりましょう。
自分を好きになればなるほど、音楽が楽しくなります。音楽が楽しくなれば、練習も楽しくなり、どんどんレベルがあります。
うぬぼれが心配な人には、チェックする方法があります。
他人の音楽を見てバカにしたり、腹が立ったりしているうちは、まだ自分のことを好きになっていないかもしれません。
僕が音楽に求めているもの
音楽の勉強はとても根気のいる作業です。
僕も音楽を勉強していて、つらいことのほうが多かったような気がします。
ひとつのことができるようになっても、また次の課題があらわれ、少し自信がついてくると、もっとすごい人に出会って打ちのめされます。
勉強をすればするほど、結果はついてきますが、ゴールがないので、寿命が百年あっても千年あっても足りないのではないかと思います。
今でも、宇宙人がやってきて、不老不死の体をくれるとしたら、僕は喜んでもらってしまうでしょう。
そうまでして僕が音楽を勉強するのはなぜか、理由ははっきりしています。
音楽は僕を自由にしてくれるからです。
音楽に課題を投げかけられ続ける僕は、傍から見ると音楽に縛られているように見えるかもしれませんが、実際は逆です。
音楽に限らず、芸術はすべて、発見と発明の連続です。
セオリーは大切ですが、それは道具でしかありません。
自分の魂を表現する創作の世界ですから「こうあるべき」という価値観そのものに意味のない世界です。
もし、「こうあるべき」という価値観が芸術にあるとしたら、それは、「こうあるべきという価値観を押しつけないべき」だと僕は思っています。
僕はその自由な世界が大好きです。
そこには苦しいこともたくさんありますが、自由とは決して無責任な世界ではありません。誰にも頭を押えられない、限界のない世界です。自分で自分を奮い立たせるしかない世界です。
僕は僕が生まれたこの世界に音楽があって、本当によかったと思っています。
吉野に来て弾き方が変わった理由
僕が大阪から吉野に移住して五年目に突入しました。
20年住んだ心斎橋から引っ越した阿倍野で暮らしていたのも5年間だったので、早いものです。
阿倍野に引っ越したときは、ここが最後まで住む家だと考えていました。そこも築80年の古民家で、一軒家で、便利な場所にあり、家の中は静かだったので、とても快適に暮らしていました。ずっと住むつもりだったので、藏を改造して防音室にしていました。
それでも引っ越すことになったのは、ほかにも理由があるのですが、きっかけになったのは、僕が蛙の鳴き声を聞いて喜んだことでした。梅田のスカイビルに映画を観に行ったときのことです。
スカイビルの広場には、コンクリートで囲った小さな田んぼがありました。そこに稲が植えてあったので、そこで蛙が合唱していました。ずっと大阪に住んでいて、蛙の声を聞いたのは本当にひさしぶりのことだったので、うれしくて、ずっとそこで蛙の声を聞いていました。
僕の様子を見た奥さんが、すぐに家を探しにかかりましたが、田舎の家なんてなかなか見つかるものではないので、あちこち探して歩くことになり、あきらめた頃に見つけたのが吉野だったというわけです。
奥さんの話によると、蛙の声を聞いている僕を見て、僕に必要なのはこれだと直感したのだそうです。僕を子供の頃に戻さなくてはいけないと思ったと、僕の奥さんはあとになって僕に言いました。
子供の頃、僕の家の周りには田んぼがたくさんありました。僕はそこで、泥だらけになって遊んでいる子供でした。
僕が外で遊ばなくなったのは、ピアノを始めてからのことです。大阪では昼まで寝て夜起きる生活で、日光にも当たらず暮らしていました。子供の頃は正反対でした。
吉野には、僕が子供の頃に見ていたものがすべてありました。田んぼや畑、虫や鳥、植物、きれいな小川、そのどれも大阪にはない、なくてあたりまえのものでした。土さえ大阪の僕の生活にはありませんでした。大阪では暑いか寒いかでしか四季を感じることもありませんでしたが、吉野では、四季どころか、景色がめまぐるしく変わります。
吉野に来て、僕は、面白そうだと思うことは全部するようになりました。鶏を飼い、犬を飼い、まねごとですが畑をはじめました。
このように暮らしていると、心が子供の頃に戻ってきたんだと思います。ピアノも、以前は頭で考えて弾いている部分もたくさんありましたが、今は、それよりも面白そうだと思うことを全部できるようになりました。
畑をしているからだと思うのですが、体力もついてきたと思います。以前は2ステージこなすとクタクタになっていましたが、今は、バテずに2ステージを全力でこなすことができます。
また美しい山々を毎日見ていることは、これも良い影響を受けているのではないかと思います。
音楽に限らず、アートと呼ばれるものは、その人が人間として取り入れてきたものでできていて、その吐き出し方の問題だと僕は考えています。吉野の美しい景色、旬の食べ物、井戸から湧き出る水、毎日その恩恵を受けていることも、僕の音楽を変えていると感じています。
劇場版「ジャズってなあに?」
こんにちは!柴田コウメイです。
今年に入ってから、200人くらいの小ホールで「ジャズってなあに?」を上演しています。
初演は吉野町、二回目は御杖村、三回目は阿倍野で上演しました。
YouTube動画「ジャズってなあに?」の劇場版ということで、バチカブリも一緒に出演しています。
ジャズの歴史、ジャズ音楽の仕組み、アドリブの仕組み、スケールの話まで、駆け足ですが、わかりやすくて面白いという評判をいただいています。
動画ではバチカブリが僕に質問して僕が回答していますが、僕はセリフをおぼえるのがとても苦手なので、解説はほとんどバチカブリに喋ってもらって、僕は演奏に集中しました。
教科書のようなレジュメを作り、しっかりとした台本をつくっています。セミナーコンサートの形です。
小学生のお客様からも、楽しかった、わかりやすかったと感想をいただいたのでとてもうれしかったです。
「アメリカの豊かな文化であるジャズを広める」ということで、在大阪・神戸米国領事館からの後援してもらいましたが、その目的を果たすことができる、非常に良いものになったと自分でも思っています。
ライブハウスと違って、ホールは著作権費用がかかるので、全曲パブリックドメインの曲を使ったことが大変といえば大変でした。インストゥルメンタル曲はまだパブリックドメイン曲が多いですが、たとえばボーカル編をつくるとなると、支払うしかないので、皆さんぜひ見に来てください。
ジャズ音楽を広めるために、これから、いろいろなところでこの演目ができたらいいなと思っています。どこかの町で会えたときは、みなさん、ぜひよろしくおねがいします。
プロダクションを開設しました
こんにちは。SPOONFUL MUSICの柴田コウメイです。
ブログを書くのはとてもひさしぶりになります。
この6月より、SPOONFUL MUSICではプロダクションを開設しました。
プロダクションは、プロ部門とアマチュア部門に分かれています。
プロ部門は、プロアーティストとの自由契約で、活動、他団体との契約など何もありませんが、サイトから各アーティストの情報が得られ、演奏依頼の申込みもできるようになっています。各アーティストの希望に応じて、サポートや情報交換ができる、組合のようなものになっています。
アマチュア部門は、長年宇陀市を中心に音楽でボランティア活動をされてきた大向典子さんと提携、NoriNori企画としてアマチュアアーティストが登録し、ボランティアや音楽祭などの情報を交換します。
このプロダクションはSPOONFUL MUSICの卒業生でなくても登録できます。
ゆるい繋がりのプロダクションですが、音楽とともに生きるすべての段階の人にとって羅針盤のようになればいいなと思っています。
ブギウギピアノの弾き方
今回はブギウギピアノの弾き方です。
僕は、ジャズを弾ようになる前は見よう見まねでブギウギピアノを弾いていました。
簡単にノリノリで楽しめるブギウギピアノは、弾いていてとても気持ちいいので、ぜひチャレンジしてみてください。
ブギウギはジャズではありませんが、ジャズでもブギウギをかっこよく使うことができますよ。
ジャズボーカルのキーの決めかた
ジャズでよく使われるキー、あまり使わないキー
楽譜なし・最短距離でおぼえるコードネーム
初心者向け、コードネームのおぼえ方のシリーズを制作しました。
全部で7回のシリーズです
ジャズピアノの勉強でコードネームは大きな壁です。
丸覚えするのではなく、順を追ってコードネームの設計図を分解して公式をおぼえると、忘れても簡単に思い出せるようになります。
最初はルールだけ頭に入れて、使いながらおぼえてゆきましょう。
1.白鍵の名前
2.黒鍵の名前
3.メジャースケール
4.コードネーム
5. セブンスコード
6.転回形
7.テンションコード
かんたんにできるⅡ-Ⅴ-Ⅰのバッキング(コンピング)
ブルーススケールをグルーヴさせる指使い
ブルーススケール(ブルーノートスケール)
ジャズボーカルが垢抜けるリズム練習
ジャズアドリブの仕組み
ジャズピアノ左手のつくりかた
サンバを弾こう
ジャズピアノ練習ハノン活用法
ドラマ「ブギウギ」に見るジャズの真髄
10月から始まったNHK朝ドラ「ブギウギ」を毎日楽しく見ています。
モデルは「東京ブギウギ」で知られる歌手の笠置シヅ子。
僕が物心ついた頃には歌手を引退されていたので、僕は彼女をテレビタレントのひとりであり、流行歌の歌手のひとりだとしか思っていませんでしたが、戦前の音楽が好きな僕の奥さんにすすめられて音源を聴いてみると、日本人離れした、ジャズのリズム感を持った本格ジャズシンガーだったので驚きました。
今週、ドラマでは、笠置シヅ子をモデルとする福来スズ子が、作曲家・服部良一をモデルとする人物、羽鳥善一と出会い、そして「ジャズ」に出会う場面でした。
羽鳥が作曲したスズ子の新曲「ラッパと娘」はホットなスイング・ジャズで、しかも、大部分がスキャットです。
NHK公式 ドラマ「ブギウギ」ラッパと娘 YouTube動画
少女歌劇団出身のスズ子は、ジャズのジャの字も知りません。
わからないまま一生懸命歌うスズ子に、羽鳥はジャズのアドバイスはせず、ただ
「福来君は福来スズ子をつくらなければならないのではないか」
「僕は福来君が最高に楽しく歌ってくれればそれでいい」
そしてスズ子は開眼し、ショーを大成功させます。
ジャズのスイング感は個性ではなくメカニカルなものなので、これはドラマの演出であり、スズ子に天才的なリズム感があるという前提で成立するストーリーですが、羽鳥のセリフには、ジャズを歌い、演奏するうえで大切なこと、真髄といっていいものが秘められています。
ひとつは、誰の真似もしなくて良いということ。
もうひとつは、心からの思い、つまり魂を音楽に乗せるということ。
これはどの音楽にも共通しているので、芸術の真髄かもしれませんが、即興音楽であるジャズにとって、これはとても大切なことです。
即興音楽である黒人音楽をルーツとし、それを西洋音楽のセオリーに取り入れているジャズは、譜面通りに演奏されるスイングジャズであっても、歌手はフェイクを使ったり、その場限りのパフォーマンスを入れることがよくあり、その名残を残しています。僕たちの演奏するモダンジャズはなおさらで、譜面は記号でしかなく、再現性も求められていません。
そのジャズを演奏しながら、誰かの真似をしたり、間違えていないかどうか、上手に歌っているかどうかを問題にしながら演奏するのは、全く意味がありません。
演奏を会話と考えてみましょう。その場の空気を掴んで思うままに演奏するジャズは、会話とよく似ています。
友達と話すときに、誰かの物真似をしたり、上手にできているかどうか、そのようなことを気にしていては、少しも会話は弾まないし、気まずい空気が流れるでしょう。第一、自分の言いたいことは何も言えずに終わるでしょう。
ジャズも同じです。
心から楽しく。怒るときも、泣くときも心から。
それを音楽に乗せることができて、はじめて、「ジャズを演奏することができるようになった」ということができるようになるのです。
そのためには、ジャズという音楽をしっかり体に入れて、小さなことが気にならないようにならなければなりません。
僕は僕の生徒たちには、そのように教えています。
5分でおぼえる「ジャズで使うリズム」
YouTubeで、新シリーズ「ジャズインスタント講座」をはじめました。
今回は、ジャズで使うリズムです。
ジャズでは、このリズムを使って曲を自由自在に変化させます。
スイングとボサノバの違いをしっかりと聞き分けられるようになりましょう。
酒とタバコとジャズピアニスト
僕はジャズピアニストで、しかし、お酒を飲むことができません。
タバコも同様です。
コーヒーに至っては、心拍数が上がるので、肉を食べたあとにほんの少し飲むくらいです。
現代では考えられないかもしれませんが、僕が若かったころ、お酒やタバコが出来ないと、成人の社会で受け入れられることは難しかったものです。
気の知れた友人とは問題ありませんが、初対面の人や目上の人、あるいは距離を感じる人ほど、お酒やタバコはコミュニケーションの潤滑剤でした。
特にジャズの世界では、お酒を飲めないと、お客さんの好意を断ることも多く、またクライアントにも好印象を与えられないこともありました。
「ここにあるお酒、何でも飲んでいいよ」と言われたとき、とても申し訳ない気持ちになりました。
お酒を愛する人々にとって、それはまさに天国のような場所だったことでしょう。
それでも僕は、仮にお酒が飲める体だったとしても、お酒を飲むことはなかったと思います。
僕はあまり器用なピアニストではないので、お酒を飲むと感覚が鈍ってしまい、ピアノを練習することも、深く味わうこともできなくなる気がします。
それがたとえ3%の麻痺であったとしても、10日で30%、100日で300%、それは本来の自分ではない自分がピアノを弾いていると感じてしまい、非常にもったいないと思います。
それはけちなのかもしれません。
しかし、奥さんは僕のそのようなところは独特すぎて、お酒なんかいらないでしょうと言ってくれます。
ホームページをリニューアルしました
吉野に来て三年、阿倍野の頃のままにしていたホームページをやっと書き換えました。
人生何が起こるかわからないのもので、3年前、少なくとも4年前には想像もしていなかった生活です。
自然に囲まれて、季節を感じる生活のなかで、僕の音楽もとても変わった気がします。