カクテルピアノ

 

ジャズピアノに似ているジャンルに、カクテルピアノというものがあります。

バーやレストランなどで、雰囲気を出すために弾かれるピアノです。

ちょっとおしゃれで、会話の間を埋めるので話が弾み、お酒もおいしくなるピアノです。

ジャズが弾けるピアニストならコード譜で弾きますし、クラシックピアニストは両手譜で弾きます。

そして、お客さんの邪魔にならないように弾きます。

場を盛り上げるのではなく、おしゃれな空気を作る為に演奏します。

名前の通り、カクテルを飲むような場所で演奏されるピアノです。

今はちょっとわかりませんが、コロナ前まではこのカクテルピアノの需要が高く、報酬も悪くないので、ピアニストの定番アルバイトでした。

ピアノを弾くことで報酬を得たい人、カクテルピアノを弾くのが好きな人にとってはとても良い仕事だと思います。

ですが、ジャズピアニストになりたい、アーティストとして名前を出していきたいと思っている人はしないほうが良い仕事だと僕は思っています。

バーやレストランでは、お客さんの邪魔にならないことが要求されます。

存在感を出すと叱られてしまいます。

この仕事をすると、人の邪魔にならないように弾いてしまう癖がついてしまうのです。

そして、その癖はなかなか取ることができません。

 

これは、個性を出し、人の注目を集めなければならないアーティストとしてハンデになります。

僕は東京にいるとき、バーでピアノを弾く仕事もしていましたが、このときの癖を取るのに随分かかりました。5年以上はかかったと思います。本当に取れたのは吉野に来てからかもしれません。

ピアニストになる人は、どのようなピアニストになるか、しっかりと心に決めましょう。それはあとで変わるかもしれませんが、自分で意識を持って決めておけば、避けるべきものが見えてくると思います。

 

2024年06月29日