ジャズボーカルになる3つの条件
僕はレッスンでジャズボーカルを教えています。
さて、そのジャズボーカル、普通のボーカルと何が違うのでしょう?
何ができるようになれば、ジャズボーカルができるようになったと言えるのでしょうか?
今日はジャズボーカルになる方法についてお話ししようと思います。
ジャズボーカルとは何か
ジャズボーカルにはまず、「ジャズのジャムセッションに参加できる」という大前提があります。
ジャムセッションとは、打ち合わせをせず、その場でコード譜を見ながら即興的にバンド演奏をすることです。
ボーカルに限らず、ジャズはこのセッションに参加する技術を持っていることが大前提です。ジャズボーカルを学ぶということは、その技術を学ぶということになります。
その技術とは何か、一つずつ紐解いていきましょう。
ジャズボーカルの条件
1. ジャズ・スタンダード曲をおぼえる
ジャズには、スタンダード曲と呼ばれる定番曲があります。
ジャズ・スタンダードナンバーは楽譜にまとめられて販売されているので、それをまず勉強しましょう。
国によってよく歌われる曲が少し違っていたり、新しい曲が追加されたりしていることもあるかもしれませんが、このスタンダードナンバーはだいたい世界共通です。
2. 自分のキーを決め、楽譜を書く
ジャズでは、原曲のキーにこだわることなく、自分の歌いやすいキーで歌います。
カラオケでは+・−のボタンを押して音の高さを調整していますね。
ジャズは生バンドなので、自分の歌いやすい高さが決まったら、その高さに合わせて自分の楽譜を書きます。メロディにコードをつけた楽譜を、バンドメンバーの人数分印刷して配ります。
配る楽譜は全員同じ楽譜です。その楽譜を渡せば、バンドメンバーはあなたのキーでジャズを演奏します。
これがジャズの楽譜です。この2つの楽譜は、同じ曲でも調(高さ)が違います。
3. ジャズバンドの演奏に慣れる
上の楽譜のように、ジャズの楽譜には、単音のメロディとコードネームしか書いてありません。
それをどのように演奏するかは、プレイヤーが演奏しながら決めていきます。
つまり毎回伴奏の音が違うので、あらかじめ決められた音がそのまま出てくるポップスやクラシックとは勝手が違います。ジャズ独特のリズムもあり、慣れないうちは、思った以上に違和感を感じます。
また、ジャズではその場の雰囲気で倍速テンポになったり、リズムが変わったりします。もちろんボーカルがそういう雰囲気を作っていくこともあります。歌唱の表現力もですが、なにより、リズム感が重要であることもジャズの特徴でしょう。
ほか、テンポはボーカルが決めたり、合図の出し方など小さなルールがありますので、そうしたことにも慣れる必要があるでしょう。
ジャズボーカルの特徴として、ボーカルのアドリブである「スキャット」などがありますが、こうしたことは応用編になるので必ずしもできる必要はありません。
まとめ
ジャズはその場の空気や即興演奏の変化を楽しむ音楽であり、同じ演奏が二度とされることはありません。ジャズボーカルはその変化に対応し、バンドメンバーと音楽で対話できる存在です。ジャズは音楽での「おしゃべり」のようなものであり、ポップスやロック、クラシックとは異なるアプローチを持っています。
たとえば同じスタンダードジャズナンバー(たとえば「A列車で行こう」など)を歌う歌手でも、カラオケやバンドスコアの楽譜で決められた伴奏で歌うであれば、「ポップス歌手」の部類に入ります。
ジャズはアドリブをしない「歌手」にとっても、バンドとコミュニケーションをしながら、バンドと一緒につくりあげていく音楽なのです。
今日の動画
7月27日(土)吉野町中央公民館でコンサートをします。
最高のドラマー、村尾コージさんとのバトルライブです。
会場でお待ちしています!